

ロシアのカラシニコフ社は、AK-12アサルトライフルの短縮型であるAK-12K及びAK-12SKを発表した。これらは市街地戦に特化して改良されたアサルトカービンライフルである。当該ライフルは、ウクライナにおける市街地戦を経験した兵士のフィードバックを基に開発された。
Kalashnikov shows off new AK-12 rifles in Moscow
— RT (@RT_com) May 16, 2025
The compact AK-12K and AK-12SK were developed based on feedback from troops fighting in the Ukraine conflict
Small, light, perfectly suited to urban combat pic.twitter.com/iMzdKCaaz4
ロシア国営メディアのTASS通信によれば、銃器メーカー”カラシニコフ・コンツェルン”のアラン・ルシニコフCEOは14日、モスクワ近郊パトリオット・パーク内の同社ライフル施設にて開催されたイベントにおいて、AK-12アサルトライフルの改良短縮版であるAK-12K及びAK-12SKを発表した。これらはいずれもロシアが言うウクライナの特別軍事作戦地域で活動する部隊からのフィードバックを基に開発され、特に人口密集都市部における戦闘を想定した設計となっている。
ルシニコフCEOはこの銃について「コンパクトなアサルトライフルは、ユーザーからのフィードバックを直接反映したものです。突撃作戦においては、フルサイズのライフルは実用的ではありません。こうした任務に必要な有効射程距離よりも、携帯性と取り扱いやすさがより重要になるのです。」と説明。同社の小火器主任設計者セルゲイ・ウルジュムツェフ氏は、特殊作戦での運用経験から、突撃部隊を含む特定の部隊にとって、ライフルの寸法が重要な要素であることが判明していると強調。「部隊からのフィードバックにより、画一的なアプローチでは現代の小火器の要求を完全に満たすことはできないという結論に至りました。標準装備のライフルはあらゆる兵科の部隊に適していますが、突撃部隊には若干異なるモデルが必要です。そこで、AK-12の改良版を開発しました。」とライフル開発の目的を語った。
ウルジュムツェフ氏は、設計過程において空挺部隊からの意見が反映され、この新型モデルが主に空挺部隊での運用を想定している旨を言明した。空挺兵は航空機やヘリコプターからの降下作戦において、軽量かつ取り回しに優れた短縮型AK-74ライフルであるAKS-74Uを装備しているが、AK-12K/SKはAK-12の特性を継承しつつ、AKS-74Uと同等の全体的特性を有している。同社によれば、最新のAK-12K/SKは、現代の戦闘状況における要請に対応すべく、技術的、人間工学的、並びに運用特性が向上している。この小型ライフルは、敵兵を効果的に無力化すると同時に、戦場における操作性を高めることを目的としている。
AK-12K/SK


AK-12K及びAK-12SKは、現行ロシア連邦軍の主力小銃であるAK-12の改良型である。AK-12の開発は2011年に開始され、2017年に試験を完了した。2018年末より特殊部隊(スペツナズ)への配備が始まり、2019年からは本格的な量産と配備が進行し、ロシア連邦軍の各部隊への導入が開始されている。ウクライナに投入されているロシア連邦軍部隊への配備が確認されており、また、ロシアに派遣された朝鮮民主主義人民共和国兵が訓練で使用する様子も確認されている。


スペック
AK-12標準モデルは5.45×39mm弾を使用し、発射速度は毎分700発、重量は空弾倉込みで3.7kg、全長は940mm、銃身長は415mm、有効射程は800mである。標準的なマガジンの装弾数は30発であり、96発のドラムマガジンも使用可能である。専用のポリマーマガジンには、5発ごとの残弾数を確認できる窓が設けられている。
AK-12K及びAK-12SKは、市街地戦に対応するため、その改良と短縮化が図られている。AK-12Kの自重は空荷状態で3.4kg(空弾倉を含む)、銃身長は290mmに短縮され、全長は伸縮式ストック展開時で810mm、折り畳み時で570mmとなる。一方、AK-12SKは3.2kgとさらに軽量化され、銃身長は228mm、全長は750mm、折り畳み時で500mmである。標準モデルと比較して、銃身が著しく短縮されており、AK-12の有効射程距離800mから大幅な短縮が見込まれる。有効射程距離は公表されていないが、理論上、およそ400~500mと推測される。
AK-12K及びAK-12SKは、2024年において部隊による実戦運用評価が実施され、その後ロシア国防省から相当量の発注がなされた。カラシニコフ社によれば、本年春には部隊への納入が予定されている。両小銃は、共に市街地戦用に開発された旨が発表されているが、同社は以前、短縮型AK-12は主に無人機操縦士、自動車や装甲車の運転手、通信部隊の隊員、その他小火器を基本兵器としない兵士への武装を目的としていると述べていた。高度な技能と経験が求められる市街地戦を実際に遂行するのは、特殊部隊や精鋭部隊となる。本年春より部隊への納入が開始されることから、5月中には最初の部隊に配備される可能性が高い。