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地上攻撃準備か!?米軍がベネズエラ沖に空母と戦略爆撃機を派遣!

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US Navy

米国防総省が、最新鋭原子力空母ジェラルド・R・フォードを中心とする空母打撃群をベネズエラ沖に展開させると発表したことで、南米地域の安全保障情勢に緊張が走っています。さらに、米空軍の戦略爆撃機B-1Bランサー2機がベネズエラ沿岸近くを飛行したとの報道もあり、軍事的プレゼンスの強化が鮮明になっています。米国政府は、この一連の動きを「違法薬物取引などを監視・阻止するための訓練・展開」と説明していますが、その規模と戦力から、海上における麻薬カルテル対策としては明らかに過剰であるとの指摘が相次いでいます。これにより、ベネズエラ本土への攻撃も視野に入れているのではないかとの憶測が飛び交い、国際社会に懸念が広がっています。

米国側の公式声明では、今回の展開の目的は中南米・カリブ海地域における麻薬密輸といった違法活動の探知、監視、阻止能力の強化であるとされています。麻薬カルテルをはじめとする非国家犯罪組織が、米国内および地域の安全を脅かす存在であるという認識に基づき、これらの勢力に対する抑止・排除を目的とした部隊派遣であると説明されています。しかし、既に米国はアーレイバーク級ミサイル駆逐艦やワスプ級揚陸艦イオージマ、数千名の海兵隊を派遣しており、これに加えて空母打撃群と戦略爆撃機を派遣することは、対麻薬カルテル対策としては戦力過剰であるとの見方が有力です。このため、今回の派遣には麻薬対策以外の、より戦略的な目的があるのではないかと推察されています。

ベネズエラ沖への軍増派の目的

今回の軍事力増強は、「麻薬対策」という表面的な目的を超え、少なくとも二つの主要な意図が推察されています。第一に、ベネズエラのマドゥロ政権およびその支援勢力に対する軍事的・政治的圧力を強める狙いです。そして次に軍事展開の規模と投入された戦力から、「単なる海上の麻薬密輸阻止」に留まらず、必要とあらば陸上への攻撃も辞さないという強いメッセージをベネズエラ政府に送っていると考えられます。このような動きは、地域の安全保障環境や国際秩序に大きな波紋を広げることが懸念されています。

ベネズエラ政府は、今回の米軍の動きを「侵略の準備」であり、「政権転覆を狙った圧力」であると厳しく非難しています。ベネズエラは軍の動員を強化し、ロシア製の携行式対空ミサイル5000発を準備したと発表するなど、米軍の動きに対して断固たる対決姿勢を示しています。また、ラテンアメリカ諸国や地域機構の中には、米国のこの動きが「地域の主権および内政不干渉の原則を揺るがすもの」として警戒感を表明する声も上がっています。一方で、マドゥロ政権は強硬姿勢を示すだけでなく、犯罪組織を支援しているとの噂を払拭するため、軍が麻薬カルテルの拠点にあった密輸用の航空機と大量の麻薬を燃やす動画を公開し、麻薬対策に真剣に取り組んでいることをアピールしています。しかし、この動画についても、プロパガンダの一環として演出されたものではないかとの指摘も出ています。

米国はこれまで、麻薬密輸組織を「非国家武装集団」や「テロリスト」と位置づけ、通常戦争法上の枠組み、例えば「非国際的武力紛争」を適用し、国際海上域を航行する密輸船を攻撃・撃沈してきました。しかし、実際に打撃を受けた船が密輸船であったという確たる証拠は公開されておらず、これらの軍事行動に対する「議会承認」や「国際法上の根拠」について、国内外から議論や異論が提起されています。

そして今回、米国が麻薬密輸対策に戦略爆撃機や原子力空母を使用するという異例の規模での軍事展開は、その目的が「麻薬密輸阻止」という明示された範囲を超え、ベネズエラへの主権侵害や、地域の戦略的均衡および主権をめぐる論争に発展する可能性が指摘されています。米政府高官のコメントにも「次は地上かもしれない」といった示唆が含まれており、事態がさらにエスカレートすることへの懸念が高まっています。

また、南米地域では反米感情が強まる傾向にあり、今回の米軍の行動がそれに拍車をかける可能性も指摘されています。ベネズエラと敵対関係にあるコロンビアでさえ、米軍が過去に攻撃した船舶のうちの1隻がコロンビア船であり、麻薬取引に関係のない漁師が犠牲になったと主張し、米国を「殺人」と批判しました。グスタボ・ペトロ大統領は国連総会で米国を批判し、これに対し米国はペトロ大統領の入国禁止や資産凍結といった制裁を課しています。ブラジルは、トランプ政権の関税政策や、トランプ寄りだったボルソナーロ前大統領の裁判に対する米国の介入を批判しています。このような背景の中で、ベネズエラへの対応次第では、ラテンアメリカ全体での反米感情をさらに強め、地域の安全保障・外交の枠組みに甚大な影響を与える可能性があります。国際的正当性の観点からも、仮に米国が地上攻撃を行った場合、国際社会における激しい議論は避けられないでしょう。

今回の軍事展開は、米国が従来の「沿岸・海上警備」や「麻薬取引摘発」といった枠組みを大きく超え、南米・カリブ海域における軍事的プレゼンスを明確に引き上げたものと評価できます。公式には「麻薬密輸阻止」という名目が前面に押し出されていますが、投入された戦力の質と量、そして作戦内容が示唆するメッセージを総合的に勘案すれば、これは地域の安全保障構造および米・ラテンアメリカ関係をめぐる地政学的な転換点となり得るという見方も十分に成り立ちます。今後の米国の行動と、それに対するベネズエラおよびラテンアメリカ諸国の反応が、地域の安定に大きな影響を与えることは必至です。

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