先週、米国防総省が突然ウクライナへの軍事支援の一部提供を停止したことは、キエフとその同盟国に大きな衝撃を与え、米国が再びウクライナへの軍事支援を停止するのではないかという懸念を巻き起こした。しかし、トランプ米大統領は昨日（8日）、ウクライナへの支援停止を命じたわけではないことを強調し、事態は一層複雑さを増した。
Trump caught off guard by Pentagon’s abrupt move to pause Ukraine weapons deliveries, AP sources say
AP通信など米国メディアの報道によれば、関係筋の話として、ピート・ヘグセス国防長官がホワイトハウスと議会に通知することなく、ウクライナへの武器供与停止を独断で承認したと報じている。この出来事はトランプ大統領を「不意打ち」にさせ、大統領自身が個人的に不満を表明するに至った。この一連の出来事は、トランプ政権内部の深刻な混乱と、主要な政策決定における意思疎通の欠如を改めて浮き彫りにした形だ。
兵器在庫不足への懸念と国防総省の声明
この事件の引き金となったのは、国防総省が米軍の兵器在庫不足を懸念し、ウクライナに約束していた一部の対空ミサイル、精密誘導砲、その他の兵器の供与を停止すると突然発表したことにある。当時、米国防総省は「米軍は世界中の全ての人々に兵器を与えることはできない」と異例の声明を発表していた。当初、ホワイトハウスも国防総省の決定を擁護し、これは同盟国への米軍の軍事支援を精査した上で国防総省が下した決定であり、この決定の核心は米国の優先政策にあると説明していた。しかし、7日にはトランプ大統領が突如としてウクライナへの兵器供与を増やすべきだと発言したことで、ホワイトハウスの説明と大統領の真意の間に矛盾が生じ、政権内の不協和音が露呈した。
この事件は、ウクライナ情勢の不安定さに加え、米国内政の複雑さが国際関係に与える影響の大きさを改めて示すものとなった。今後のトランプ政権の動向と、ウクライナへの軍事支援がどのように展開していくのか、国際社会の注目が集まっている。