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軍ごとの世界の航空戦力Top10ランキング[2025]

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NATO

世界の航空戦力を詳細に分析するWDMMA(World Directory of Modern Military Aircraft)が、国ではなく軍ごとの最新の戦力ランキングを発表しました。この最新の報告によると、インド空軍が中国空軍を追い抜き、世界第3位に浮上するという顕著な変化が見られました。日本の航空自衛隊も、このランキングで8位に位置しています。

WDMMA Global Air Powers Ranking (2025)

WDMMAの評価システムは、非常に広範かつ詳細です。世界103カ国、129の航空軍種(陸軍、海軍、海兵隊の航空部門を含む)を対象とし、合計48,082機の航空機を追跡、分析しています。この分析に基づき、各軍の航空機数だけでなく、その特徴や強みを総合的に評価指標化(TruVal Rating, TVR)してランキングを作成しています。注目すべきは、このランキングが単純な機体数のみに依存しているわけではない点です。近代化の度合い、実際の運用能力、補給体制の効率性、特殊任務機の保有状況、兵器構成の多様性、そして国内の産業基盤の強さといった多角的な要素が勘案されており、より実態に即した評価がなされています。今回はランキングTop10を紹介します。

世界空軍戦力ランキング 詳細分析

第1位:アメリカ空軍 TVR 242.9

圧倒的な首位に君臨するのはアメリカ空軍です。保有する機体数は5,004機に上り、その構成は戦闘機、戦略爆撃機、輸送機、空中給油機、電子戦機など、極めて高いバランスを誇ります。さらに、補給・訓練態勢は盤石であり、強力な国内産業基盤に支えられ、常に最新鋭の機体と最先端の兵器・装備を保有しています。これは、アメリカが世界の航空戦力において揺るぎないリーダーシップを維持していることを明確に示しています。

第2位:アメリカ海軍航空隊 TVR 142.4

海軍でありながら世界第2位という驚異的な評価を得ているのがアメリカ海軍航空隊です。機体数は2,504機。世界最大の空母艦隊を擁し、艦載機の数は他国を圧倒しています。戦闘機、電子戦機、哨戒機をバランス良く保有し、対海・対地作戦能力も非常に高く、海上における最大の航空戦力として機能しています。その展開能力と打撃力は、世界の海洋安全保障において極めて重要な役割を担っています。

第3位:ロシア空軍 TVR 114.2

国別では世界第2位に位置するロシア空軍は、ウクライナとの戦争で一部の機体を失ったものの、未だ世界有数の戦力を保持しています。機体総数は3,677機。MigやSuシリーズの戦闘機は依然として健在であり、ソ連時代の古い戦略爆撃機も維持されています。戦力構成には偏りが見られるものの、長距離爆撃機や多用途戦闘機、空中発射型巡航ミサイルなど、長距離攻撃能力を重視した体系を維持しており、その規模と潜在能力は依然として高い評価を得ています。

第4位:アメリカ陸軍航空隊 TVR 112.6

陸軍であるにもかかわらず、世界第4位という高い評価を受けているのがアメリカ陸軍航空隊です。保有する4,333機の機体の9割以上が回転翼機(ヘリコプター)です。しかし、その陣容は非常に多様で、UH-60に代表される汎用型ヘリから、AH-64のような攻撃型、CH-47といった大型輸送ヘリなど、多岐にわたります。ヘリコプターを用いた近接航空支援や機動展開能力においては、世界最強と評されています。

第5位:アメリカ海兵隊航空隊 TVR 85.3

第5位には1,211機を保有するアメリカ海兵隊航空隊がランクインしました。機体数は上位と比較すると多くはありませんが、ステルス機のF-35B/Cを保有しており、海軍の空母や揚陸艦に依存しつつも、高い海上作戦能力を保持しています。また、MV-22オスプレイに代表されるように、海兵隊の作戦支援に特化した航空能力は非常に優れており、水陸両用作戦における不可欠な存在です。

第6位:インド空軍 TVR 69.4

第6位は1,716機を保有するインド空軍で、国別ではアメリカ、ロシアに次ぐ世界第3位に躍進し、前回のランキングから中国を抜きました。近年、インド空軍は近代化と国産開発に積極的に投資しており、フランスからラファール戦闘機を取得し、国産のテジャス(Tejas)戦闘機を開発・導入しています。また、老朽化していたMig-21は今年度中に完全に退役させられました。輸送機、哨戒機、回転翼機、練習機と、戦力バランスも大幅に向上しており、その総合的な能力が高く評価されています。

第7位:中国人民解放空軍 TVR 63.8

中国人民解放空軍は、インドに抜かれ国別では世界第4位に後退しました。しかし、機体数に限って言えば3,733機と、アメリカ海軍と陸軍に次ぐ世界第3位の規模を誇り、依然として大規模な戦力を擁しています。近年では、J-20ステルス戦闘機、J-16戦闘爆撃機といった近代的な戦闘機の数を爆発的に増やしています。しかし、戦力構成が戦闘機に偏っており、運用訓練、補給体制、そして実戦経験の点で課題が指摘されており、これらの要素がランキングを落とした主な要因とされています。

第8位:航空自衛隊 TVR 58.1

ここに日本の航空自衛隊がランクインしました。国別では世界第5位、機体数は756機と中規模ですが、F-35の保有数(今後の調達計画を含む)はアメリカに次ぐ世界第2位であり、その質の高さが評価されています。特に高く評価されているのが、整備や訓練体制であり、高い稼働率と訓練水準は世界でもトップレベルとされています。これにより、限られた機体数ながらも、非常に高い即応性と運用能力を維持していることが示されています。

第9位:イスラエル空軍 TVR 56.3

国別では世界第6位のイスラエル空軍は、機体数581機と多くはありません。しかし、常に周辺国との紛争が絶えない環境にあるため、イスラエル空軍のパイロットは実戦経験が豊富であり、世界でも有数の練度を誇ります。F-35、F-15、F-16といった主要機は独自にアップグレードされており、電子戦能力や防空能力もトップレベルにあると評価されています。

第10位:フランス空軍 TVR 55.3

世界第7位のフランス空軍は、機体数511機を保有しており、そのほとんどが国産機で構成されています。主力戦闘機は国産のラファールであり、世界でも高い評価を得ています。また、アフリカや中東地域での部隊派遣経験が豊富であり、航空海洋能力や長距離作戦能力に優れている点も特筆すべきです。フランスは、自国の航空産業基盤を背景に、独立した防衛力を維持しています。

上位5カ国のうち、アメリカの四軍がその大部分を占める形となり、アメリカの圧倒的な航空戦力が浮き彫りになりました。ただし、この順位をそのまま「実力の確定的序列」として受け取るのは慎重であるべきです。「どの要素を重視するか」によって順位は大きく変動するからです。

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