MENU
カテゴリー

トマホークミサイル供与の噂もトランプは否定!米国はウクライナに何を送るのか?

  • URLをコピーしました!
US Navy

ドナルド・トランプ大統領は、停戦に応じないロシアのプーチン大統領に対し、ウクライナへの追加のパトリオット防空ミサイル供与を表明した。さらに、14日の月曜日には、数十億ドル相当の攻撃兵器も供与することを約束している。この中には、現在ウクライナが保有している兵器よりも射程距離の長いものが含まれるとの憶測が広がり、様々な推測を呼んでいる。

トマホーク巡航ミサイルの供与検討と現状

複数のアメリカメディアは、トランプ大統領がロシア奥深くを攻撃可能なトマホーク巡航ミサイルの供与を検討していると報じた。「BGM-109 トマホーク巡航ミサイル(Tomahawk Cruise Missile)」は、長距離・精密打撃能力を持つ亜音速巡航ミサイルで、主に米海軍によって運用されている。最新型のBlock IVとVは1,600km以上の射程を持つ。これは、キーウからモスクワまでの直線距離約755km、最も近いウクライナ国境からでも450kmという距離を考えると、モスクワを余裕で射程に収めることを意味する。速度は890km/hで、レーダーを避けるため超低空(地形追従)飛行が可能だ。

Typhon Weapon System(US Army)

トマホークは基本的に艦艇に搭載して使用され、最近でも6月のイラン核施設攻撃の際、米海軍の原子力潜水艦から発射された事例がある。地上発射型については、1987年の「中距離核戦力全廃条約(INF条約)」の締結に伴い全廃されたが、米ロ間でINF条約が2019年に失効したことで、再び配備が可能になった。米陸軍は現在、SM-6対空ミサイルとトマホークミサイルが発射可能な「Typhon Weapon System」を配備している。

もしトマホークミサイルがウクライナに供与されれば、ウクライナへの攻撃に使用されているロシアの戦略拠点を攻撃することが可能になる。報道によれば、トランプ政権は11日の金曜日までこの供与について検討していたとされる。しかし、今回の協議では合意に至らず、トランプ大統領もトマホークの供与を否定した。

ATACMSの追加供与と運用制限の解除

ホワイトハウス、ウクライナへの供与兵器によるロシアへの越境攻撃容認について検討
©Lockheed martin

トマホークミサイルの供与は実現しなかったものの、その代わりにATACMS(陸軍戦術ミサイルシステム)が供与される見通しだ。ATACMSは高機動ロケットシステムHIMARSから発射可能な弾道ミサイルで、バイデン政権下の2024年から供与が始まった兵器である。西側から供与された兵器の中では最も長く、最大射程300kmを有する。ウクライナ軍はこれを使い、クリミア半島や国境周辺のロシア軍の防空網や拠点をいくつも破壊してきた実績がある。

しかし、これまでに供与されたATACMSは40発程度しかなく、トランプ政権になってからは追加の供与もなく、今年3月頃には既に枯渇していたとされている。具体的な数量は不明ながら、トランプ大統領はこれを追加供与する見込みだ。さらに、これまで存在した使用制限についても解除されると報じられている。

ATACMSはその射程からロシア領内深くに攻撃できるため、前バイデン政権が供与を渋った経緯がある。供与が始まってからも、その使用はクリミア半島などに限定されていた。2024年11月にはロシア領内への越境攻撃が承認されたものの、攻撃対象は国境周辺に限定され、ロシア軍のミサイルや無人機の拠点を攻撃することはできなかった。しかし、トランプ政権ではこの制限も撤廃されると報じられている。モスクワやサンクトペテルブルクといったロシアの重要都市には届かないものの、ロシア領内の軍事拠点を標的にした場合、ATACMSの射程圏内にはおよそ245~250カ所の軍・準軍事施設が含まれるとされる。そのうち16カ所が航空拠点であり、残りは弾薬庫、司令部、車両集結所などとなる。これはロシア軍にとって非常に大きな脅威となる。

ウクライナ軍は航続距離1000km以上の無人機を使った攻撃も行っているが、一撃の破壊力はATACMSの方がはるかに上である。無人機はコストが安い一方で低速で電波妨害に弱く、成功率は低い。その点、ATACMSはマッハ3で飛翔し、高高度から精密攻撃が可能だ。防御側の迎撃猶予は数十秒しかなく、迎撃は極めて難しい。実際、これまでにロシアのS-300、S-400といった高性能防空システムがATACMSによって破壊されていることが確認されている。無人機を囮として使用することで、ATACMSの成功率はさらに向上するだろう。

兵器供与の経路と今後の展望

今回、パトリオットミサイルを含む米国から供与される兵器は、米国政府が直接供与するのではなく、欧州NATO諸国が購入し、それをウクライナへ提供する間接ルートが採用される。トランプ氏は、武器の費用は「すべて欧州が支払う」と強調している。パトリオットは最大17基が供与されるとの報道もある。ATACMSについても、戦況に影響を与えるには三桁の数が必要となるだろう。

ゼレンスキー大統領は6月の記者会見で、ウクライナ北東部の国境沿いにロシア軍が5万名の兵士を集結させていると述べており、ロシア軍が近日中に攻勢を強めると推測されている。これらの兵器供与が、今後の戦況にどのような影響を与えるか注目される。

Source

https://www.washingtonpost.com/opinions/2025/07/14/trump-ukraine-war-missiles-russia-arms-package

https://united24media.com/latest-news/trump-reportedly-considered-sending-tomahawk-missiles-to-ukraine-capable-of-hitting-moscow-9892

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!