

アメリカ陸軍向けの新しい「将来型長距離強襲機(FLRAA)」であるティルトローター機の「V-280 Valor(バロー)」の運用開始がロッキード・マーティン社の抗議の影響によって1年延期されることが分かった。
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ディフェンス・ニュースなどの報道によれば、米陸軍の航空部長は2022年12月に「将来型長距離強襲機(FLRAA)」としてテキストロン社傘下のBell社が開発するティルトローター機「V-280 Valor」を選択したことに対して、ロッキード・マーティン社が抗議したため、最初の部隊でFLRAAを実戦配備する計画は1年延期されたと発表した。ロッキード・マーティン社は傘下のシコルスキー社と共にFLRAAの採用を目指し「Defiant-X」を開発。最後までV-280と争ったが敢え無く敗北。しかし、適切な評価がなされていないとして、決定が下った同月、その決定を見直すよう米政府監査局 (GAO) に正式に抗議。米政府監査局 (GAO) の規則によれば、ロッキード・マーティンとシコルスキーの抗議に対し、GAOは法の下、正式な審査を行い、100日以内に決定を下す必要があった。
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審査の結果、GAOは「シコルスキーが提案要請で要求される製造上の詳細レベルを提供できなかったため、陸軍はシコルスキーの提案を技術的に受け入れられないと合理的に評価したと結論付けた」として2023年4月の2社の抗議を却下した。しかし、この審査の間、V-280の採用プロジェクトは一旦停止。V-280は当初、2030年の就役を予定していたが2031年に延期となった。
今後のV-280の採用予定は12か月以内に2機のシミュレーターを納入し、2026年に最初の機体を納入、限定的なユーザーテストは2027年から2028 年の間に行われる。最終的にV-280は2031年までに就役を予定している。V-280は1978年以降、米陸軍の主力ヘリコプターとなっているUH-60ブラックホークに代わるものであり、投資額は70億ドルを超える可能性がある。
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