
アメリカ海兵隊は航空機のオーバーホールの一環として、沖縄に配備するMV-22オスプレイの数を24機から20機に削減し、その代わりに様々な先進的な無人機の配備を増やす事を発表した。
スターズ・ストライプスの報道によれば、米海兵隊の広報担当者の発表として、同隊は昨年、進化する航空戦略の一環として沖縄に配備されているMV-22オスプレイの運用数を24機から20機に削減した。 2月3日に発表された2025年海兵隊航空計画によれば、この削減は海兵隊のティルトローター飛行隊全体のより広範囲な削減と一致しており、過去2年間で運用可能なオスプレイ飛行隊を12個から10個に減少している。 今後も削減を計画しており、削減対象には沖縄の米海兵隊普天間航空基地に駐留する第262中型ティルトローター飛行隊(VMM-262)と第265中型ティルトローター飛行隊(VMM-265)が含まれており、今回の普天間基地のオスプレイの削減はその一環とされる。影響を受けているのは沖縄だけではない。2023年にはカリフォルニア、2024年にはハワイとノースカロライナの海兵隊航空基地でもそれぞれ削減が行われている。その代わり、将来的に先進的な無人機の数を増やすされる。
プロジェクト・イーグル計画
この削減は、太平洋における中国の軍事的プレゼンスの拡大に対抗できるよう、より機敏で遠征的な部隊への移行を目指す海兵隊の継続的な取り組みである戦力設計の一環であり、現在「プロジェクトイーグル」と名付けられた米海兵隊の新たな航空戦力計画を進めている。この計画には3つの柱があり、航空機、指揮統制ユニット、サポートチームを分散させて標的にされにくくする「分散型航空作戦(DAO)」、人工知能による意思決定を取り入れた「意思決定センター指向型航空作戦(DCAO)」、そして、「有人無人機連携」(MUM-T)。オスプレイを削減し、無人機を配備する計画はMUM-Tの一環とされる。海兵隊は合計348機のMV-22を保有しており、海兵隊の目標は360機を調達することだった。
不具合が多発していたオスプレイ
オスプレイはこれまで、何度か不具合、事故を起こし、その度に一定期間飛行停止になっている。2023年11月には鹿児島県屋久島沖で米空軍のCV-22Bオスプレイが墜落。乗員8名が死亡しているが、その際は2024年3月まで運用が制限された。その後も度々、事故が起き、その度に一定期間、運用が停止されている。このような状況ではいざ、有事の時に不安がある。オスプレイの安全性については、米議会でも疑問視する声が上がっている。
もちろん、米軍は対応を行っており、事故調査報告書に基づき、オスプレイ機群のオーバーホールを計画している。2025年の航空計画では、欠陥を減らすためにプロペラギアボックスに「オスプレイ駆動システム安全・健康状態監視装置」(ODSSHI)を設置し、新しい高強度部品に交換することで、ギアやベアリング部品の信頼性と安全性を向上させる。オスプレイは2023年で調達は終了しているが、これらのオーバーホールにより、2055年まで安全に飛行できる予定だ。普天間のオスプレイも今後改修され、徐々に編成や数を調整していくことになるが、稼働率の向上により、現在の任務の有効性と戦闘即応性は維持されると米海兵隊は強調している。
V-22 オスプレイ

V-22 オスプレイはティルトローター方式と呼ばれる回転翼の角度を変更することができるティルトローター機で、2つの回転翼によりヘリコプターと同じ垂直離着陸、ホバリングが可能なうえ、回転翼を前方に傾けることで推進力を生み飛行機のようなスピードを得る事ができる。飛行モードで最高速度520kmに達し、これはUH-60ブラックホークの倍のスピード。運用上限は25,000 フィート(7,620m)。内部燃料供給装置を備えた航続距離は標準1,600km、最大3,600km(ペイロードなし) で、空中給油によりさらに延長することができる。最大32名の人員を一度に輸送できる。ヘリコプターのように離着陸を選ばない上に、固定翼機に近いスピード、長い航続距離を持ち合わせており、兵員輸送、医療避難、特殊作戦など使用されている。米軍では海兵隊の他、空軍、海軍も配備。米軍以外では陸上自衛隊のみが採用しており17機を発注。既に全機納入されている。