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ベトナム戦争以来!米空軍の戦略爆撃機部隊が日本に配備

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USAF

青森県の三沢基地にアメリカ空軍のB-1Bランサー戦略爆撃機が到着した。日本に米空軍の戦略爆撃機が飛来する事は定期的にある事だが、今回飛来したB-1Bはしばらく三沢基地を拠点に活動する予定で、日本の基地を拠点に米空軍の爆撃機が活動するのはベトナム戦争以来になる。

太平洋空軍と地球規模攻撃軍団は4月16日、米空軍初の日本拠点爆撃機部隊のローテーションのため、B-1B戦略爆撃機が青森県の三沢基地に到着したと発表した。 機体はテキサス州ダイエス空軍基地第9遠征爆撃飛行隊所属で15日早朝に韓国空軍との訓練飛行を終え、同日夜に三沢基地に着陸した。今回のB-1Bの三沢基地への飛来は米空軍の爆撃機任務部隊(Bomber Task Force, BTF)ローテーションの一環であり、日本にBTFが配備されるのは初めてになる。

爆撃機任務部隊(Bomber Task Force, BTF)

爆撃機任務部隊(Bomber Task Force)、通称BTFとは、米空軍が2018年に導入した構想で、米国本土を拠点とする爆撃機部隊を世界各地に一時的に展開させる任務のことを指し、定常的な駐留ではないが、最大数か月に渡って、特定の地域に爆撃部隊を駐留させる。部隊は目的別に柔軟に展開され、これにより予測困難性に対する対応を強化し、戦略的効果を高め、敵対国に対して戦略的抑止力を示すと共に、同盟国との連携を強化し、グローバルな迅速対応能力を高めることを目的としている。

世界各地で緊張が高まる中、近年、BTFの活動は活発化しており、ロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシアに対する米国の抑止力と即応力、NATOの結束力を示すため、ノルウェーやイギリスにBTFが配備され、ロシアと隣接するバルト三国やポーランド上空を飛行し、ロシアを牽制してきた。インド太平洋地域ではこれまでグアムのアンダーセン空軍基地、オーストラリアのアンバーリー空軍基地、インド洋のディエゴガルシア島でBTFのローテーションを行っており、そこから爆撃機がインドネシアや韓国、フィリピン上空を飛行して任務を遂行してきた。今回、そこに日本の三沢基地も含まれることになったが、今後も定期的にローテーションが行われるのか、他の日本国内の基地も使用されるのかは不明だ。

ベトナム戦争以来

これまでB-52やB-1といった爆撃機が日本に飛来する事はあったが、それは米軍基地で開催される航空ショーや給油といった一時的なもので、今回のBTFのように一定期間、日本の基地に駐留し、そこを拠点に活動するのはベトナム戦争(1955~1975)以来、実に半世紀ぶりになる。ベトナム戦争時は、B-52ストラトフォートレスが1960年代を通して沖縄の嘉手納基地から運用されていた。沖縄からベトナムまでの距離は約2500kmになり、B-52の戦闘行動半径内であった。B-1Bランサーが日本に配備されるのは今回が初めてになる。場所が三沢基地という事から、ロシア及び、北朝鮮、中国に対する抑止力の誇示と日米の強固な同盟関係を示すことが目的だろう。今回、派遣された飛行隊の作戦部長であるクリストファー・トラベルステッド中佐は「BTFは、脅威の抑止と地域の安定維持に対する米国のコミットメントを示すものです。インド太平洋における任務は、いつでもどこでも対応できる態勢を整え、米国の利益を守り、同盟国を支援することで、すべての国がルールに基づく秩序の下で自由に活動し、世界の平和と繁栄を促進する安定したインド太平洋を確保します。」と述べている。なお、三沢基地へのB-1Bの駐留期間は未定だ。

B-1ランサーは米空軍が保有する3つの戦略爆撃機の一つで、B-52戦略爆撃機の後継機として1970年代にマッハ 2 の高高度飛行速度を持つ世界初の可変翼音速爆撃機として開発された。その後、マルチミッションプラットフォームとして設計されたB-1Bが1986年に就役しており、現在、運用中の機体は全てB-1Bモデルになる。当初は通常兵器に加え戦略核兵器も搭載できるように設計されていたが、1991年にソ連と調印した戦略核兵器削減条約(START)に基づいて1994年にB-1Bは核作戦任務から除外された。その分、3つの爆撃機の中で最大の通常弾頭搭載量を誇り、合成開口レーダーは、複雑な環境下でも移動目標の探知、追跡、交戦を可能にし、低高度での地形追従飛行も可能にする。GPS支援型慣性航法システムは、地上システムに依存せずに高精度の標的捕捉を保証。大規模な通常攻撃から近接航空支援、対艦作戦まで、幅広い任務をこなすことが出来る。

B-1ランサーは計104機が生産されたが、2021年に17機が退役し、現在、運用状態にあるのは半数以下の45機のみに。機体寿命の平均が34.5年の同機は2000年代に始まった対テロ戦争で酷使され、ほとんどの機体が早期老朽化し、保守性が低下、運用率は半分以下に。複雑な可変翼の影響もあり、2019年に戦闘準備状態にある機体は6機のみだった。B-1Bは2030年代初めには全機が機体寿命を迎え、全機退役する予定だ。現在、後継機となるステルス戦略爆撃機B-21レイダーが開発中だ。

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