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米国の武器輸出シェアは43%に増加、ロシアの輸出は64%減少、中国は輸入減で内製化

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米国の武器輸出シェアは43%に増加、ロシアの輸出は64%減少、中国は輸入減で内製化
NATO

スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が3月10日に発表した報告書によると、米国は直近5年かで世界の武器輸出シェアを43%に増加させ、一方、ロシアの武器輸出は64%減少、中国が海外からの武器輸入を64%減らし、国内での内製化を図っている事が分かった。

ウクライナが最大の武器輸入国に、米国がシェア拡大

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の最新の報告書によれば、2020年から2024年にかけて、ウクライナは世界最大の主要武器輸入国となり、2015年から2019年と比較して輸入量が約100倍に増加した。もちろん、これはロシアとの戦争の影響によるもので、2022年2月のロシアによる侵攻後、少なくとも35カ国がウクライナに武器を供与、その量は2020~24年に世界の武器輸入市場全体の8.8%に達する。ウクライナに供給された主要な武器の半数は米国(45%)からのものであり、ドイツ(12%)、ポーランド(11%)がそれに続いている。

また、ロシアによってヨーロッパの安全保障が揺らいだことで欧州全体の武器輸入は155%増加、NATO加盟国の武器輸入は105%増加し、 輸入された武器の64%は米国から供給された。その影響か、米国の武器輸出の最大シェアはこの20年間は中東だったが、欧州のシェアが35%となり、33%の中東を抜いた。米国の武器輸出は2015~19年から2020~24年の間に21%増加し、世界の武器輸出に占める割合は35%から43%に拡大している。

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ロシアの武器輸出が大幅減

一方、長年アメリカに次ぐ武器輸出国だったロシアの武器輸出は2020~24年の間に64%減少し、世界全体の輸出シェアは3位の7.8%に低下。 ロシアの輸出減は西側からの経済制裁と戦争で自国がより多くの兵器が必要になった事によるもの。ロシアは2020年から2024年にかけて33カ国に武器を輸出しているが、その内3分の2はインド(38%)、中国(17%)、カザフスタン(11%)の3カ国だ。ロシアが武器輸出を減らすなか、武器輸出をほぼ3倍の伸ばし、シェア9.6%に拡大したのが世界第2位の武器輸出国となったフランスだ。欧州NATOへの武器輸出も米国に次いで2位だが、フランスの武器輸出の最大シェアを持つのがインドで28%と、ロシアに代わり、フランスがインドの武器輸出の最大の取引国になるのは近いとされる。

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中国の武器輸入が大幅減

一方、アジア・オセアニア地域では、武器輸入が21%も減少した。これは、中国が国内の武器生産を増加させたことが主な要因とされている。中国の武器輸出シェアは5.9%を占め、世界4位になるが、2015~19年から2020~24年の間に武器輸入は64%も減少している。中国は武器輸入国トップ10から脱落しており、これは1990~94年以来初めてになる。中国の武器輸入の大半はロシアからになり、主に戦闘機やヘリコプター、エンジンを輸入していたが、中国はこれらを国内で設計・生産された兵器システムに置き換えており、今後も更に武器輸入は減少、その分、武器輸出が拡大していくと分析される。また韓国も武器輸入を24%減らしているが、欧州NATOへの武器輸出はドイツやイタリアを抜き、2位のフランスと並びシェア6.5%を占め、武器輸出国へと変貌を遂げている。中国による侵攻に備える台湾も意外にも27%減と武器輸入を減らしている。これは中国の圧力によって米国以外の国から兵器の購入が難しい現状もあり、兵器の国産化に力を入れているためと思われる。一方、アジアで武器輸入を大幅に増やしたのが日本で95%増と、東アジア諸国の中で唯一、武器輸入が増加した。そのほとんどはアメリカからだ。

ロシア・ウクライナ戦争の影響で世界中で軍拡が進んでいると思われているが全体として、2020年から2024年の世界の武器取引量は、2015年から2019年および2010年から2014年の水準とほぼ同じだった。しかし、欧州とアメリカ大陸での輸入が増加がしたが、アジア、中東、アフリカと他の地域では減少しており、相殺する形となった。

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